鍼灸室 らくみ 福里真希

2015年11月29日3 分

うんちを作る以外の大腸

最終更新: 2020年5月23日

記録的に暖かかった11月もすっかり寒くなり、

平地も紅葉真っ盛り、

あまりの美しさにため息が漏れます。

早朝太極拳で出向いている小金井公園は、既に一全体面霜で真っ白!

温度計は0度、みんなの息も真っ白。

前回お伝えした、喘息をお持ちの方には、自殺行為な環境ですが、

ピリッと冷たい空気は心身ともにシャッキリします。
 

 
さて、話題は変わって、
 
先月、世界保健機構(WHO)から発表された
 
「ハムなどの加工肉は発がん性が十分認められ、大腸がんになるリスクがある」
 
というニュース、ご存知ですか?
 

 
「毎日加工肉を50g摂取するごとに大腸がんのリスクは18%増加」
 
「牛や豚などの赤肉であれば、100g摂取するごとに17%増加」
 
特に、ハムなどの加工肉は、危険度としては、
 
喫煙やアスベストと同じグループに分類されたため、
 
全世界で物議をかもし、日本食肉加工協会も猛反発。
 

 
毎朝ソーセージやベーコン、ハムを食べている人が、
 
「あなたは喫煙者やアスベスト被害者と同じです!」
 
と言われても・・・
 

 
はてさて、実際のところはどうなのでしょう。
 

 
調査・研究の真偽や細かいデータは発表されていないので
 
精査しようがないとして、2013年の栄養調査を見てみますと、
 
日本人の一日あたりの摂取量は赤肉50g、加工肉13gの合計63gで、
 
同164gのドイツの約4割程度、
 
上記の危険摂取基準にはほど遠いのが現状です。
 

 
赤肉には血や肉、骨の元となるたんぱく質やビタミンB群、鉄、亜鉛などの
 
健康維持に有用な成分が多く含まれており、
 
育ち盛りのお子さんはもちろん、貧血になりがちな妊婦さんや
 
筋力維持・骨粗鬆予防が必要な年配の方には不可欠です。
 

 
大腸がんを恐れて食べない方が、栄養が足りなくなるという意味で怖い気が・・・

ということで!

何事も「過度な偏りを慎み、バランスよく食べる」がやはり基本ですね。

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さて、ナゼこんな話題を出したのか、と言いますと・・・

前号のテーマ「喘息」は当然「呼吸器」の疾患ですが、

何度かお伝えしてきたとおり、東洋医学では、

この「呼吸器」とペアを組んで働くのが「大腸」だからです。

「肺」は二酸化炭素を含んだ空気を、

「大腸」は便を、

ともに不要物を体外に排出する機能を持ちます。

そして、ともに、体の水分調整に一役かっており、

乾燥する秋のこのシーズンに弱く、皮膚の状態を左右します。

前回お伝えした尺沢(しゃくたく)という肘の内側にあるツボは、

咳止めを始めとする呼吸器の疾患に効きますが、

その裏側にある曲池(きょくち)というツボは、大腸経に属し、

胃腸や肌の調子を整えます。

ツボもこうして表裏一体となって、ペアで働くのです。

ですから、お灸をされる際には、時にこうして表裏一体のペアを覚えて、

もしくは、覚えなくとも、ペアである反対側にも据えると良いでしょう。

肺と大腸の経絡は、腕を流れています。

皮膚と密接な関わりがあるので、ぜひ腕まくりをして直接肌をさすりましょう。

シュッシュッシュと、素早く少し圧力をかけてこすると

温かくなり、鎖骨の下辺りもこすると、全身がぽかぽか、肩もラクになります。

寒くて縮こまりそうな時には、

肺と大腸をマッサージしているつもりで、

この二つの臓腑をイメージしながらやってみてください!

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