鍼灸室 らくみ 福里真希

2017年2月27日4 分

サプリを飲まない栄養士

春一番が3回も吹いた割には、朝晩冷え込み、

まだまだ首を縮こめる毎日です。

一度収束したように見えたインフルエンザもまだくすぶっているようで、

まだ続く受験&これからの卒業関連行事シーズンに向け油断できません。

なんとか免疫を強化して元気にこの時期を乗り切りたい!

ということで今月は(一日遅れてしまいましたが・汗)、

先日私が聴講した講座の内容を一部ご紹介したいと思います。


 
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「薬を飲まない薬剤師、サプリを摂らない栄養士」という興味深いタイトルで
 
お話し下さったのは、明治薬科大セルフメディケーション学研究室の石井文由教授。
 

 
まずは医薬品とサプリメントの違いについて。
 
ざっくり言って、明確・明白な研究結果に基づき、「病気や不調を改善する」と
 
国が認めているものが、「医薬品(市販薬、処方薬ともに)」。
 
その効果・効能に科学的根拠がない「食品」が「サプリメント」です。
 

 
いわゆる「トクホ」(特定保健用食品)は、
 
からだの生理学的機能などに影響を与える成分を含んでいて、
 
「保健の効果を表示することのできる食品」で、
 
医薬品同様、国の有効性や安全性の審査を受けています。
 

 
とはいえ、
 
「医薬品とは違い、病気の治療のために使用するものではない」
 
「服用しているからと言って、病気予防の効果が高くなったり、病気が治るわけもない」
 
「一方で過剰摂取による副作用もあり得る」・・・
 

 
石井教授によると、サプリメントを摂る必要がある人は、「栄養不足の人」。
 

 
いや、だからそれが分からないからサプリメントで補うんだ!との声には、
 
「好き嫌いなく、”いわゆるバランスのよい食事”が1日3回食事を摂れていれば、
 
基本的にサプリメントは必要ない」とのこと。
 

 
サプリメント大国アメリカでも、

FDA(Food & Drung administration 食品医薬品局)が
 
「栄養不足のない人には、ビタミンやミネラルのサプリメントを摂っても、
 
慢性疾患の予防や発病リスクを減らすことはない」との警告を発表し、
 
不必要にサプリメントを摂らないよう通達しているのだとか。

私たちが1日に必要な栄養素は

「栄養所要量(もしくは食事摂取基準)」により定められており、

栄養士の方はそれが分かっているので、

栄養不足にはならない=サプリメントは必要ない、と。

けれど、私たちはどの程度栄養が足りているのか、足りていないのかが分からない・・・

現在の「日本人に不足している栄養素」は 

1.ビタミンA 2.食物繊維 3.カルシウム 4.ビタミンB 5.カリウム 6.Mg

一方、摂り過ぎなのは 1.炭水化物 2.脂質 3.Na

「食事の際、意識して緑黄色野菜を1品でも摂れば、ビタミンAと食物繊維は解消しますし、

週に一度焼肉でレバーを食べても、ビタミンAは何日分も食べたことになります。

食後にみかんとヨーグルトを食べれば、食物繊維とカリウム、カルシウムは摂れます。

それだけのことです」と。

それが面倒だからやっぱりサプリだな、という方には、こんなお話も。

「栄養素はサプリメントでなく、食事から摂ってほしい。なぜなら、

1)食事は咀嚼することで唾液が出、それに伴い、胃液・腸液が出、

食べ物を細かく分解して吸収しやすくする消化酵素が出るが、サプリではそれが出ない

2)「ビタミンAは油で調理すると吸収されやすくなる」のように

栄養素はお互いに一緒に摂取しあうことで消化吸収がよくなるが、

単一成分のサプリではそれができない

3)食事では同じものが続くと飽きる=いろんなものを食べる=栄養素が偏らない

が、サプリは味も匂いも満腹感もなく、手軽=必要以上に摂れてしまう=

摂り過ぎを防ごうとする体の防御機能が働かない。

食事なら体は飽きることで、同じものばかりが入ってきて体の負担になることを避けられる

・・・ナルホド、食事であれば胃腸・肝臓などの消化器官や脳が関与できる余地があるけれど、

サプリメントはそんな関門はすり抜け。

同じものを食べると飽きるというのは、体の自然な防御作用の一つという見方もできる・・

これってまさに、東洋医学でいうところの「食養生」「医食同源」!

中医学の「五行説」では、

「五臓六腑に対応する色と味をまんべんなく食べなさい」

といたってシンプル。

「青、赤、黄、白、黒」「酸、苦、甘、辛、塩」の5つを

一食が無理なら、一日の中で、一日が無理なら3日くらいの間で摂れれば問題なし。

バランスよく食べていれば病気を防ぐことができる。

逆に好きだからと、これらのどれかを摂り過ぎると病気になる。

そんな中でも、昔から不老不死薬探しに夢中になったり、

美容によい食品や塗り粉がもてはやされたり、

どの時代にもサプリ的なものは求められていたのですよね。

現代との違いは、古代にはそれが自然由来のものであったこと。

「わたしたちのからだは私たちの食べたものでできている」。
 
今日食べたものが明日の自分の脳になり、肉になり、骨になる。

私たちも、まずは食事の基本について学び、心掛けることから始めましょう!

それが免疫を上げる確実な近道の一つです。

今日お伝えしたビタミンミネラルの他にも、

グルコサミンやヒアルロン酸などのサプリについて、

また今年1月~始まったばかりの、

薬局のお薬が減税対象になる「セルフメディケーション減税」

などについても書きたいのですが、来月、続きをお話しします。

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